「親が亡くなり実家を相続したけれど、自分は別の場所に住んでいるし、誰も住む予定がない……」
「いつか使うかもしれないし、思い出もあるから」

と、決断を先延ばしにしたまま実家が空き家になっていませんか?

しかし、人の手が入らない空き家は急速に傷み、庭木の繁茂やゴミの投げ捨て、防犯面のリスクなど、ご近所への迷惑や不安が日増しに膨らんでいくものです。「早く何とかしなければ」と焦りつつも、「うちの実家は古いし、敷地に段差や高い擁壁もある。こんな悪条件で本当に買い手が見つかるのだろうか?」と諦めかけている方も多いのではないでしょうか。

今回ご紹介するのは、福岡市南区にある「築40年以上・2段の老朽化擁壁付き(高さ3m以上)」という、一般的には非常に売却難易度が高いと敬遠されがちな中古戸建の事例です。

数々のハードルを抱えていた物件が、なぜ「売却期間1年・査定価格通り1,400万円」での満額成約を実現できたのか。不動産のプロが仕掛けた具体的な販売戦略と、課題を抱える不動産を納得のいく形で手放すためのヒントを余すところなくお届けします。

今回売却した物件の概要と売主様の背景

まずは、今回お預かりした物件の情報と、売主様が売却を決意されたきっかけについてご紹介します。

所在地福岡県福岡市南区
種別中古戸建(売土地としても同時展開)
土地面積271.41㎡(82.10坪)
建物面積119.47㎡(36.14坪)
間取り5LDK程度(広めのファミリータイプ)
築年数1974年(昭和49年)1月築(築40年以上)
状態空き家(空き家期間2年以上・残置物一部あり)
成約価格1,400万円(査定価格通り)
売却期間1年間

売主様の背景:タバコの吸い殻に放置バイク…募る治安悪化への不安と手放す決断

本物件は、売主様とお姉様がお母様から相続されたご実家でした。お母様が他界されてから2年が経過し、誰も住まなくなった家は完全に空き家状態となっていました。

当初は思い出もあり整理がつかずにいましたが、空き家期間が長くなるにつれて深刻な問題が表面化し始めます。敷地内へのタバコの吸い殻の投げ捨てが頻発し、さらには家の前に見知らぬ原付バイクが不法放置される事態が発生したのです。

人の気配がなく管理が行き届いていない家は、悪意のある第三者やいたずらの標的にされやすく、放火や不審者の侵入といった防犯上のリスクが格段に跳ね上がります。「ご近所に迷惑をかける前に、一刻も早く実家を整理して安心したい」——お姉様と話し合いを重ねた売主様は、本格的な売却へと踏み切ることを決断されました。

なお、売主様からは過去にも東区の土地やご親族のマンション売却などを含め、今回で通算4回目のご相談をいただいておりました。「これまでの仕事ぶりを信頼しているから、良い買主さんを見つけてくれれば条件はお任せします」と、全面的な信頼を寄せていただきスタートしたプロジェクトでした。

なぜ売れにくい?この物件が抱えていた「2つの高いハードル」

査定と現地調査を進める中で、この物件には通常の居住用不動産とは異なる2つの大きな障壁が立ちはだかっていました。

1.「高さ3m超×2段擁壁」の老朽化による莫大な工事費

敷地には高低差があり、道路との間に高さ3mを超える2段擁壁が存在していました。福岡市の「がけ条例」等の安全基準に照らし合わせると、既存の古い擁壁のままでは安全性の証明が難しく、建物を解体して更地にしたとしても「そのままでは新しい家を建てられない」と判断されるリスクが高い状態でした。 もし擁壁を一から造り直すとなれば、それだけで数百万円〜1,000万円単位の高額な造成・工事費用が必要となり、一般の買主様にとっては致命的な予算オーバーの要因となっていました。

2.築40年超×延床約120㎡の広さによるリフォーム費用の膨張

建物は1974年築と古く、現代の耐震・断熱基準を満たすためにはフルリフォームが必須の状態でした。さらに建物面積が約36坪とゆとりある広さだったため、水回りから内外装まで手を入れると改修費用が跳ね上がってしまいます。「物件価格+リフォーム代」の総額が新築建売住宅を買える水準に近づいてしまい、内覧に来られた一般の購入検討者が次々と断念していく状況でした。

悪条件を跳ね返す!悪条件を跳ね返す!プロが仕掛けた「3つの売却戦略」

「擁壁工事代が高すぎる」「リフォーム代が読めない」という悪条件に対し、一般的なやり方でポータルサイトに掲載し続けても時間は無情に過ぎていくだけです。そこで、以下のような戦略的なアプローチを実施しました。

戦術1.「売土地」+「中古戸建」のW(2軸)表記で間口を最大化

建物をそのまま活かして安く手に入れたい層と、解体して自由な注文住宅用地として検討したい層。両方の可能性を取りこぼさないよう、ポータルサイトや広告では「売土地」と「中古戸建」の両方で同時に情報を発信しました。物件への接触ルートを2倍に増やすことで、幅広いニーズのアンテナに引っかかる導線を作りました。

戦術2.ターゲットを「建築・内装関係者」へ意図的に絞り込む

一般のエンドユーザー向け販売で反響が頭打ちになった段階で、早々にターゲットの再定義を行いました。一般の方には「高額な工事リスク」に見える条件も、「建築やリフォーム、内装業を自営しているプロ」であれば自社施工で原価を抑え、安全対策や修繕を安価に行うことができます。
「プロ自らが直して住むためのベース物件」として情報発信の切り口をシフトし、職人さんや建築関係者へのアプローチを強化しました。

戦術3.月1回の書面報告で「現在地と次の一手」を常に可視化

難易度の高い物件ほど、案内が月に1回入るかどうかという長期戦になりがちです。反響が少ない時期でも売主様を不安にさせないよう、毎月欠かさず詳細な販売状況報告書を作成・送付。「今月の閲覧数や問い合わせ傾向」「見学者が断念した具体的な理由」「それを受けた次の一手」を包み隠さず共有し、二人三脚で粘り強く好機を待ちました。

1年間、安易に値下げしなかった理由。そして現れた買主

販売開始から数ヶ月間は、3ヶ月に2回程度の現地案内が入るものの、「やはり擁壁の工事費が……」「リフォーム見積もりが予算を超えた」と見送りになる日々が続きました。反響が次第に落ち着き、焦りが生まれやすい状況でしたが、売主様と戦略をブレさせずに待ち続けた結果、1年が経とうとした頃に運命の買い手が現れます。

お問い合わせをくださったのは、まさに狙い通り「個人で内装業を営んでいるプロの方」でした。

買主様にとって、この物件の「広さ」や「築古さ」はデメリットではなく、「自分の技術を活かして、DIY感覚で好みの間取りに安くフルカスタマイズできる最高の素材」だったのです。課題だった擁壁や躯体の状態もプロの知識で冷静に判断し、見事にクリア。「自分で直しながら暮らす住まい」としてご納得いただき、査定価格通りの1,400万円・満額にて成約に至りました。

一般の方にとっては「高額な追加工事がかかる難物件」が、ターゲットを変えたことで「腕の見せ所がある理想のマイホーム」へと価値が180度転換した瞬間でした。

【お客様の声】バブル期の記憶を手放し、今の適正価格を見極める大切さ

売主様からのメッセージ

「不動産を任せる会社は、一生懸命動いてくれる方や、心から信頼して任せられる人を見つけることが何より大事だと実感しました。

お馴染みとなった毎月1回の丁寧な報告書もいただき、活動中に不安や不満を感じることは一切ありませんでした。慢心することなく真摯に取り組んでいただき、やっぱり期待を裏切らない方だと感謝しています。

私たちの世代はバブル期を経験しているため、『買った時よりすごく安くなってしまう』『もっと高く売れるのではないか』と考えがちです。しかし、バブル期の記憶を引きずることなく、今の市場における適正価格に納得して受け入れることが売却成功の鍵だと思います。

これまで東区の土地、妻の実家、姉のマンション、そして今回の実家と4回もお世話になりましたが、どれも私たちの希望通りの購入者様を見つけていただき、本当に満足しています。」

売主様からいただいたお言葉の中で特に重みがあるのは、「過去の相場観に囚われず、現代の適正価格を冷静に受け入れた」という点です。

難条件の物件であるほど、非現実的な高値に固執すると何年も売れ残り、結果的に大幅な投げ売りを強いられるケースが後を絶ちません。

プロの市場分析を信頼し、適正な価格ラインを守りながら1年間どっしりと構えてくださった売主様の英断こそが、今回の満額成約を手繰り寄せました。

まとめ:条件の厳しい不動産・空き家売却でお悩みの方へ

「高い擁壁がある」「築40年以上でボロボロ」「敷地が広すぎてリフォーム代がかさむ」……そんな物件でも、諦める必要は決してありません。

今回の売却成功のポイントは、「擁壁があるから売れない」「古家だから価値がない」と最初から決めつけず、複数の出口を同時に探したことです。

  • 「誰に売るか」を見極める
    一般層には敬遠されるデメリットも、建築関係者やDIY層などターゲットを変えれば「魅力的な個性」へと生まれ変わります。
  • 間口を狭めない販売方法
    「土地」と「中古戸建」の2軸展開など、買主側の選択肢を広げる柔軟なアプローチが必須です。
  • 課題を隠さず、二人三脚で伴走してくれるパートナー選び
    売却が長期化しやすい難物件だからこそ、定期的な状況報告と的確な改善提案を欠かさない不動産会社を選ぶことが結果を分けます。

「実家の擁壁が高くて他社に断られた」
「古家付きのまま売れるのかわからない」
「解体費用が高くて動けない」

そんなお悩みを抱えている方は、ぜひ一度、私たちにご相談ください。現地調査から法規制のチェック、物件の強みを引き出すターゲット選定まで、プロの視点で最適な解決策をご提案いたします。

ご相談いただいたからといって、売却を無理に勧めることはありません。物件の状態や地域の需要を整理し、「古家付きで売る」「土地として売る」「活用する」など、複数の出口から一緒に考えます。

福岡の空き家問題は福岡の専門家に直接相談。相談査定無料「空き家のミカタ」どんな物件でも、まずは1度ご相談ください!「老朽化物件」「相続物件」「訳あり物件」「ゴミ屋敷」「再建不可物件」「共有持分」
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