「人に貸している実家や中古戸建を手放したいけれど、入居者がいると簡単には売れないのでは……」
「立退きをお願いしたら、高額な立退料を請求されたりトラブルになったりしないだろうか」
賃貸中の不動産を所有していると、毎年の修繕費や管理の手間に悩みつつも、「借家人とのトラブルが怖い」「退去してもらえるか不安」という心理から、売却の決断を先延ばしにしてしまいがちです。放置を続けると、建物の老朽化が進むだけでなく、管理業者との関係悪化や維持費の赤字が膨らみ、精神的な負担も大きくなってしまいます。
しかし、適切な手順と戦略を踏めば、賃貸中であっても円満に退去を進め、スムーズに好条件で売却することは十分に可能です。
今回は、長年入居していた借家人との関係や管理トラブルに悩まされていた福岡市西区の中古戸建を、退去通知から5ヶ月・売り出し後はわずか16日で、査定通りの満額1,380万円にて成約へと導いた成功事例をご紹介します。
この記事をお読みいただくことで、難易度が高いとされる「賃貸中不動産・立退きを伴う売却」を最短ルートで成功させるための専門家の戦略がわかります。ぜひ最後までご覧ください。
今回売却した物件の概要と売主様の背景
まずは、今回お預かりした物件の情報と、売主様が売却を決意されたきっかけについてご紹介します。
| 所在地 | 福岡県福岡市西区 |
| 種別 | 中古戸建 |
| 土地面積 | 181.83㎡(55.00坪) |
| 建物面積 | 91.91㎡(27.80坪) |
| 間取り | 7DK |
| 築年数 | 1978年2月築(築40年以上) |
| 状態 | 賃貸中(入居者あり) |
| 成約価格 | 1,380万円(査定価格・売出価格と同額の満額成約) |
| 売却期間 | 5ヶ月(退去通知から)/ 売り出し後16日 |
売主様の背景:重なる修繕費と管理トラブル……「家賃収入より維持の負担が大きい」という苦悩
今回の売主様は、長年戸建を賃貸に出されていましたが、借家人との関係悪化に加え、間に入る管理業者との間でもトラブルが発生していました。
さらに、築年数が経過していることもあり、年間10万円を超える修繕費の出費が数年間連続して発生。「これでは家賃収入が入っても維持費で消えてしまい、精神的にも経済的にも手元に残るどころかマイナスになってしまう」と限界を感じ、物件の手放しを決意されました。
しかし、いざ売却しようにも、
- 想定以上の立退料を請求されるのではないか
- 本当に素直に退去してくれるのだろうか
- 困難な不完全に退去が完了するまで、売却活動を一切進められないのではないか
という不安が重くのしかかり、出口の見えない日々に頭を抱えていらっしゃいました。
なぜ売れにくい?この物件が抱えていた「3つの高いハードル」
専門家として現状を整理・査定したところ、この物件には通常の空き家売却とは異なる3つの大きなハードルが存在していました。
1.賃借人の退去問題
賃貸借契約の内容や状況によっては、貸主側からの解約や更新拒絶に正当事由が求められるため、慎重な対応が必要でした。居住中の賃借人には借家権があり、貸主側の都合だけで一方的に退去させることはできません。感情的なもつれから長期化・泥沼化するリスクを抱えていました。
2.立退き条件の合意形成の難しさ
立退料の有無や金額、明渡しの時期など、双方の納得いく条件をまとめるための交渉設計が極めて困難な状況でした。
3.売却スケジュールが賃借人の動向に左右される点
「いつ退去できるか」が確定しない限り、一般の買い手に向けた内見や引渡し時期の設定ができず、販売計画そのものが立てにくい状態でした。
悪条件を跳ね返す!プロが仕掛けた「4つの売却戦略」
これらの難題をクリアし、最短・適正価格での成約を実現するために、以下の4つの売却戦略を打ち出しました。
戦術1.弁護士連携と「間延びさせない」合意書締結
借家人との立退きに関する法的な交渉を宅建業者が代理することは、内容によって弁護士法上の問題となる可能性があります。そのため当社では無理に交渉へ介入せず、売主様に信頼できる弁護士をご紹介しました。法的な助言をもとに、感情的な対立を避けるため「退去通知」から「明渡し合意書」の締結までを最短期間で集中的に進めました。
戦術2.賃料の入金履歴・契約内容を整理し、事実関係を明確化
過去の賃料入金履歴を詳細に調査したところ、過去に賃料の滞納事実があることが判明しました。過去の賃料入金履歴を整理し、契約状況を正確に把握。確認した資料は弁護士とも共有し、事実関係を整理したうえで適切な対応方針を検討しました。
戦術3.賃借人の「転居先探し」を伴走サポート
退去を求めるだけではなく、賃借人側の負担を少しでも減らすことも円滑な合意形成には重要だと考え、賃借人の次の住まい探し(転居先探し)を実務面から積極的にサポートしました。次の行き先を可視化することで引越しへの心理的ハードルを下げ、不確定だった「退去日」を明確に確定させることができました。
戦術4.退去決定と同時に「売却準備」を前倒し(同時並行戦略)
退去が完了するのを待ってから動くのではなく、退去日が決まった瞬間から価格設定・販売資料の作成・ターゲット選定を前倒しでスタート。退去完了と同時に間髪を入れず市場へ売り出せる体制を完璧に整えました。
5ヶ月の軌跡と、最高の買い手との出会い
「退去交渉」と「売却準備」を同時並行で進めた結果、退去通知から5ヶ月でトラブルなく円満な明渡しが完了しました。
そして、明渡し完了と同時に水面下で準備していた販売活動を一斉にスタート。 築40年超・土地約55坪という特性を活かし、中古戸建としての個人向け販売だけでなく、土地としての活用を見込める地元の建売住宅事業者へもアプローチを行いました。一般の中古住宅購入者だけに絞らず、土地としての価値も同時に検証したことが、早期成約につながりました。
その結果、売り出しからわずか16日で3組の反響を獲得。最終的に、土地の広さと立地ポテンシャルを高く評価した建売業者への売却が決まり、査定価格通りの「満額1,380万円」でのスピード成約となりました。
退去不安で身動きが取れなくなっていた物件が、戦略的な事前準備によって「無駄な空白期間ゼロ」で条件に合う買主へと引き継ぐことができました。【お客様の声】
売却完了後、売主様より温かいメッセージをいただきました。
「売主は素人が多くプロに任せる場面が多いですが、任せきりは良くないと感じました。購入のきっかけや売却理由、困り事は細かく伝えることが大切。伝えないと回り道になり、結果的に自分に返ってきます。
販売が始まると不安になり他社を考える気持ちも出ますが、何事も長引くのは良くありません。入居者の退去は弁護士さんを紹介してくださり的確な助言をもらい、これまでの信頼もあり山野さんを信じて進めました。
結果は予定通りの成約。信頼関係が一番大事だと実感し、期待以上の対応に感謝しています。」
今回の成功の最大の要因は、売主様が抱えていた過去の事情や不安を包み隠さず共有してくださったことです。その情報があったからこそ、法的なリスクを回避しつつ最適な専門家(弁護士)をアサインし、的確な出口戦略を立てることができました。プロを信頼し、迅速にご決断いただいた売主様の姿勢こそが、最短成約を引き寄せました。
賃貸中・入居者トラブルでお悩みの方へ
今回の事例から導き出される、賃貸中不動産をスムーズに売却するための重要ポイントは以下の3点です。
- 退去手続きと売却準備は「同時並行」が最短ルート(退去を待ってから動かない)
- 滞納事実や契約内容を正確に整理し、感情論を排した冷静な合意形成を図る
- 法律(非弁行為等)を遵守し、弁護士など専門家と連携した安全な体制で進める
「入居者がいるから売れない」「立退きをどう進めていいかわからない」「古い貸家で修繕費ばかりかかっている」とお悩みの方も、決して諦める必要はありません。
状況に合わせて適切な手順を踏むことで、退去問題を整理しながら売却を進められる可能性があります。
ご相談いただいたからといって、売却や退去を無理に進めることはありません。賃貸借契約の状況やこれまでの経緯を整理し、必要に応じて弁護士などの専門家とも連携しながら、現実的な解決方法を一緒に考えます。





