「長年放置している土地があるけれど、条件が悪すぎて誰も買ってくれないのでは……」
「知人の不動産会社に相談したけれど、まったく動きがなくて困っている」
不動産を所有していると、「いつか何かに使うかもしれない」と思っているうちに年月が経ち、草木が生い茂って管理や近隣への影響が不安になってくるものです。特に「高低差がある」「古い擁壁(ようへき)がある」「崖条例などの法規制がかかっている」といった悪条件が重なると、一般的な不動産会社からは敬遠され、売却を諦めかけてしまう方も少なくありません。
しかし、どんなにハードルが高い土地であっても、「プロによる見せ方の工夫」と「諦めない売却戦略」があれば、納得のいく形で買い手を見つけることは十分に可能です。
今回は、福岡市東区にある「崖条例・老朽化した石積み擁壁・高低差5m以上」という難易度MAXの土地を、戦略的なアプローチによって830万円で売却成功へ導いた実例をご紹介します。この記事を読めば、売れにくい不動産を手放すための具体的なヒントと専門家の視点が分かります。
今回売却した物件の概要と売主様の背景
まずは、今回お預かりした物件の情報と、売主様が売却を決意されたきっかけについてご紹介します。
| 所在地 | 福岡県福岡市東区 |
| 種別 | 売土地(地目:山林) |
| 土地面積 | 233㎡(70.48坪) |
| 状態 | 空き地・遊休地(放置期間 約5年・樹木繁茂) |
| 成約価格 | 830万円(査定価格通り) |
| 売却期間 | 約3年8ヶ月(一般媒介期間含む) |
売主様の背景:知人業者に任せるも放置状態…「とにかく手放したい」という切実な思い
売主様は複数所有されていた土地の整理(遊休地整理)を進めており、今回の土地もその一環として売却を検討されていました。
私が相談を受けたときには他社様で売却中で、土地は約5年間放置されたままで、樹木や果樹林が生い茂り、道路との間には5m以上の高低差と古い石積み擁壁がある状態。「条件が悪いのは自覚しているから、とにかく売れてくれればいい……」と、半ば諦めのようなお気持ちを抱えていらっしゃいました。
さらに頭を悩ませていたのが「依頼先との関係性」です。昔からの知人である不動産業者2社に売却を依頼していたものの、条件の難しさから積極的な販売活動をしてもらえず、実質的な放置状態が続いていました。「知人だからこそ、催促や不満を遠慮して言えない」というジレンマの中、無駄な時間だけが過ぎていくことに強い焦りと不安を感じていらっしゃいました。
なぜ売れにくい?この物件が抱えていた「3つの高いハードル」
現地調査と法令調査を進める中で、この土地には不動産売買において極めて難易度が高い「3つの大きな課題」が存在することが浮き彫りになりました。
1.崖条例に該当する「高さ5m以上の老朽化石積み擁壁」
敷地と道路に5m以上の高低差があり、古い石積み擁壁で支えられていました。これは安全上の観点から建築制限がかかる「崖条例」に該当し、一般的な住宅用地を探している買い手からは真っ先に敬遠される要因でした。
2.現況のままでは建築確認を通せる建築士がほぼ不在(新設工事は1,000万円超)
古い石積み擁壁の安全性を現況のまま証明し、建物の建築確認申請を通せる建築士は極めて限られます。もし安全基準を満たす擁壁を新たに造り直す場合、工事費用だけで1,000万円以上かかる試算となり、土地価格を大きく上回る致命的なコストの壁がありました。
3.樹木や果樹林が生い茂り「家が建つイメージ」が湧かない
長年の放置により木々が鬱蒼と茂り、一般のお客様が現地を見ても「どこにどんな家が建つのか」が全く想像できない状態でした。不動産購入において「完成形がイメージできない土地」は、検討の初期段階で候補から外されてしまいます。
悪条件を跳ね返す!プロが仕掛けた「4つの売却戦略」
土地の物理的な悪条件そのものを消し去ることはできません。そこで私たちは「条件を変える」のではなく、「見せ方と提案の工夫で買い手の不安を取り除く」という戦略を打ち出しました。
戦術1.建築プランを作成し「土地+建物セット」で提案
ただの「崖沿いの山林」として販売するのではなく、提携建築士とともに安全基準をクリアできる具体的な「参考建築プラン」を作成しました。「この土地ならここに家が建ち、日当たりや眺望を活かしたこんな暮らしができます」と可視化し、土地+建物の総額イメージを提示。買い手の「本当に家が建つの?」という不安を払拭し、購入検討のハードルを劇的に下げました。
戦術2.困難な案件にも逃げない姿勢で「専任媒介」を獲得
知人業者に任せきりで動きが止まっていた売主様に対し、「どうすれば売れるか」「どうすれば高く売れるか」を考え抜いた具体的な提案書とお手紙をお送りしました。当初は知人2社を含む3社の一般媒介でのスタートでしたが、フットワーク軽く動き続ける姿勢をご評価いただき、最終的に販売を一任いただく「専任媒介契約」をお任せいただくことになりました。
戦術3.窓口を一本化し、広告戦略と営業ターゲットを拡大
専任媒介をお任せいただいたことで、ポータルサイトへの掲載方法やキャッチコピー、建築プランを前面に出した広告展開を自由かつスピーディーに実施できるようになりました。ターゲットを狭めすぎず、「眺望を活かしたこだわりの家を建てたい」という一般の個人ユーザーに向けて幅広い営業活動を展開しました。
戦術4.毎月1回の販売状況報告と「改善提案」の徹底
反響が少ない物件ほど、売主様にとっては「今どうなっているのか分からない」ことが最大のストレスになります。そこで、毎月必ず書面にて「問い合わせ状況・市場のリアルな反応・次に打つ改善策」をセットでご報告しました。結果が出ない時期も決して逃げず、改善のPDCAを回し続けることで売主様と強固な信頼関係を維持しました。
約3年8ヶ月の軌跡と、最高の買い手との出会い
反響は決して多くなく、「月に1件あるかどうか」という根気のいる販売活動が続きました。
しかし、諦めずに「土地+建築プラン」でのアプローチを続けた結果、ついに「高低差があるからこそ、人目を気にせず見晴らしの良い開放的な住まいをつくりたい」という一般の個人エンドユーザー様とのご縁を結ぶことができました。
他社が「売れない」と敬遠した「崖・高低差・山林」という弱みが、建築プランの提示によって「プライバシーと眺望に優れたオンリーワンのマイホーム適地」という最大の強み(メリット)へと反転した瞬間でした。
時間はかかりましたが、最終的に値下げをせずに成約価格830万円にて無事にお引き渡しを完了。売主様にも大変ご満足いただける結果となりました。
【お客様の声】他社が消極的な中、最後まで試行錯誤してくれた
お引き渡し後、売主様より大変温かいメッセージをいただきました。
「昔からの知人である不動産業者2社に売却を依頼していました。途中で山野さんから『売却させてほしい』と手紙が届き、3社の一般媒介で販売を始めましたが、鳴かず飛ばずの結果が続き時間だけが流れていました。
知人の2社は60代で、昔はバリバリ動いていたのでしょうが、今は細々と営んでいる印象で売却の姿勢がとても消極的でした。それに比べ、山野さんだけが『どうにか売ろう』『どうやったら早く、高く売れるのか』など、試行錯誤して売り切ろうという姿勢が見えました。
そういう取り組む姿勢やフットワークの軽さから信頼感が生まれ、専任でお任せしました。最後まで諦めずに売却していただき、本当に感謝しています。」
条件の厳しい不動産ほど、不動産会社側の「姿勢」が結果を大きく左右します。「売りにくいから」と放置する業者も多い中、知人関係のしがらみを超えて私を信じ、専任でお任せくださった売主様の決断こそが、今回の売却成功を引き寄せた一番の要因だと実感しております。
条件の悪い土地・空き家の売却でお悩みの方へ
今回の事例から導き出せる、売れにくい不動産を売却するための重要ポイントは以下の3点です。
- 条件が変えられないなら「見せ方・提案方法」を変える(建築プラン等の可視化)
- 「知人だから」と遠慮せず、熱意とフットワークのあるパートナーを選ぶ
- 困難な不動産こそ、改善案を出し続ける「諦めない担当者」に相談する
「うちの土地も崖や段差がある」「草木が荒れ放題で手放せない」「他社に相談したけれど断られた・放置されている」——そんなお悩みを抱えていませんか?
不動産の価値は、「誰がどう提案するか」で大きく変わります。どのような悪条件の土地であっても、私たちは解決への道筋を一緒に考え、決して途中で投げ出しません。
売却や処分を諦めてしまう前に、まずは一度お気軽にご相談ください。





